2020年1月26日
今回は、宵祭画像のレッタチ方法の概要を説明します。

① JPEG撮って出し ② RAW現像後 ③ Photoshop完成後
「JPEG撮って出し」でも十分に美しい画像ですが、屋台の明るさと鮮やかさをアップさせたいところです。
提灯は、昔はロウソクでしたが、近年LEDになりました。布袋台の提灯は黄色が強いので、後ろの屋台のような黄色をおさえた色味にしたいと思います。
レッタチの方向
1 屋台(赤色・金色)を明るく鮮やかに
2 提灯の黄色をおさえる
3 明るさの順番 提灯 > 屋台 > 背景
レッタチの方向性・着地点を決めておかないと、途中で何をやっているのかわからなくなります。
おことわり:レタッチの詳細な操作はブログではとても表現できず、概略の説明となります。
RAW現像

ポイント
1 色温度・色かぶりを適切に
2 明るい部分を抑えめに・暗い部分を明るめに
3 可能な範囲でノイズ低減
RAW現像では細かい部分の補正はできないので画像全体を大まかに調整します。
詳細な部分や最終的な補正は、Photoshopで行います。
オレンジフィルターをストロボにつけ色温度を下げたことで、画面全体が暖色系なので、ホワイトバランスの調整は比較的楽にできます。
オレンジフィルターのありがたさが実感できます。
Photoshopでの処理
◯ 1枚の背景画像だけでは補正作業がやりにくいので、メインの被写体(屋台)・補正の大きい被写体(提灯)を、選択し別レイヤーにする。
◯ 手前の被写体を上段のレイヤーにする。
◯ 各レイヤーと背景に明暗色調補正をし、画像を完成させる。

画像が重なっている部分は、上のレイヤーの画像がモニターに表示されます。
レイヤーの白い部分は透明で、下の画像がモニターに表示されます。
レイヤーが分かれると、そのレイヤーだけに明暗色調補正を適用することができます。背景にも適用できます。
例1:レイヤー2・3の屋台を明るく補正すると、モニターには、背景の明るさは変わらず、屋台だけが明るく表示されます。
例2:提灯の補正
レイヤー1に黄色をおさえる補正をしても、レイヤー2・3・背景には影響がでません。
レイヤーを作らず背景で提灯の補正をしようとすると、都度 提灯を選択する作業をしなければならず、とてもたいへんです。
被写体をレイヤーに変換する作業を以下でご紹介します。
被写体の選択→レイヤー(屋台)
最近は自動選択ツールの精度が向上し、クリック1発で選択OKの場合もありますが、屋台はそうはいきません。
以前は各種の自動選択ツールを駆使して選択しようとして、結局上手くいかずイライラがつのりましたが、最近はいさぎよく手動でパスを描いています。

ペンツールで屋台の輪郭にパス(シアン色)を描きます。
中窓部分や後ろの屋台との境目も丁寧に描きます。
夜空と黒い屋根の境界は見えませんが想像で描く部分もあります。
この作業が1〜2時間くらいかかります。
集中力が必要で1台処理するだけで比呂池はヘトヘトです。

描いたパスを選択範囲(点線)に変換し、

レイヤー / 新規 / 選択範囲をコピーしたレイヤー
ショートカットは「 ⌘ J 」
これで屋台のレイヤーが作成されました。
もう1台の屋台も同様の作業をします。
一つ処理が終わったらPSD形式ファイルで上書き保存しておきましょう。
被写体の選択→レイヤー(提灯)

提灯はクイックマスクを使用し選択しました。
クイックマスクモードにし、ブラシの直径・硬さを調整し、選択したい部分を塗り(黄緑色)、選択範囲に変換。
⌘ J で別レーヤーに
被写体の選択方法を2つ紹介しましたが、選択範囲を作る方法は数多くあり、比呂池もすべては把握していません。しかし、選択方法のバリエーションを広げることが、Photoshopの上達につながります。
今日の格言:「選択範囲を制する者はPhotoshopを制する!」

被写体を複数のレイヤーに分けることができたら、全体の6割位まで作業が進んだイメージです。
PSD形式ファイルで上書き保存しておきましょう。

レイヤーパネルの表示も、画像の並びと同じです。
わかりやすいように、提灯と屋台の文字を入れました。
明暗色調補正
例1:レイヤー2 屋台1を明るくする場合
補正をしたいレイヤー(レイヤー2 屋台1)を選択します。

「トーンカーブ」のパネルを開く
① 下中央「下向き矢印白四角」をクリック
② トーンカーブで明るさ補正
レイヤー2 屋台1の上に、トーンカーブが乗ります。
トーンカーブレイヤーの左側に「下向き矢印」が表示され、トーンカーブはすぐ下のレイヤー2 屋台1に適用されたことを表しています。
トーンカーブパネル①「下向き矢印白四角」の選択をせずにトーンカーブを補正すると、下のすべてのレイヤーと背景に補正が適用されてしまいます。
例2:レイヤー1 提灯の黄色をおさえる場合
レイヤー1 提灯を選択し、トーンカーブパネルを出します。

ブルーチャンネルを選択し、トーンカーブを上げると、青色の補色である黄色は弱くなります。

それでもまだ黄色が強かったので、特定色域の選択パネルを開き、
イエロー系
イエローをマイナス(弱く)
ブラックをマイナス(イエローを明るく)
しました。

黄色を明るくする補正を2つしたので、提灯の文字の黒色が薄くなりました。
文字を黒くするために、特定色域の選択パネルを開き、ブラック系
ブラックをプラス
上記の作業を繰り返し、各レイヤーに対して適切な明暗色調になるまで補正をします。
また、最初に分けたレイヤーを更に分けないとうまく補正できない時もあります。
色調補正をスムーズに進めるためには、色相環や補色を理解する必要があります。

色相環の反対側が補色
R(赤)を強くする場合
1 Rを強く
2 Cを弱く
3 MYを強く
4 BGを弱く
マスク
口と鼻をおおうマスクと同じですが、Photoshopのマスクの色は、白←グレー→黒です。

屋台全体は少し暗いので、トーンカーブで明るく補正したいと思います。
しかし、提灯の中心から下部は中にライトがあり明るいので、明るく補正はしたくありません。
マスクで補正したくない部分を黒く塗るほど補正が適用されなくなります。
・白い部分は補正適用
・グレーが濃くなるほど補正適用が小さく
・黒い部分は補正適用されない
左から2番めの提灯は暗めで、明るく補正してもよいため、黒く塗ってありません。
マスクは本来、白←グレー→黒なのですが、画像との位置関係がわかるよう半透明の画像を重ねています。

レイヤーパネル トーンカーブ 赤点線四角内の
白四角がマスクで、中心付近(明るい提灯)が黒く塗ってあります。
option(alt)+白四角マスク クリックで、マスクが画像上に表示されます。
ひとつのレイヤーに対し、最低でも2〜3の明暗色調補正をすると、しだいにレイヤーパネルはすごいことになってきます。

名称をしっかりつけておかないと、どこがなんだかわからなくなります。

ひとつの被写体に関係するレイヤーとその補正を複数選択して、フォルダ(赤四角)をクリックすると、それらがひとつのフォルダに入り、レイヤーパネルが整理されます。
フォルダの右側>をクリックすると、フォルダが展開し、補正の再調整ができます。
完成したPSD画像は、レイヤーが複数あり、容量は200MBオーバーです。外付けHDに保存し、JPEG等の軽いデータに変換して使用しましょう。

今回紹介した、被写体をいくつかのレイヤーに分けて、各々のレイヤーに明暗色調補正を加えるレタッチは、商品撮影画像ではごく一般的に行われる方法です。
また、高山祭屋台に今回の方法を使っている方が他にみえるかどうかはわかりません。
クリック1発でもっと美しくなる方法をご存知の方は、ぜひ比呂池にお教えください。
レタッチの詳細はブログではとても表現できず、概略の説明となってしまったことをお詫びいたします。特にマスクの説明は、比呂池本人も何を書いているのかわからない???くらいです。
比呂池写真事務所では、高山祭屋台画像の販売を始め、Photoshopの個別レッスンも承ります。
ブログでは意味不明???ですが、実際にパソコン操作しながらお聴きいただければ難しくはありません。
皆さまからの、お問い合わせや申し込みをお待ちしています。
参考記事