比呂池写真事務所 › 撮影HOWTO

フォトショップを使用した「被写界深度合成」2/2

前回は「被写界深度」について説明しましたが、
今回はフォトショップを使用した「被写界深度合成」の手順を説明します。



ピント位置をずらして複数枚撮影します。
露出モードはマニュアルで




デスクトップに撮影した画像を用意します。



フォトショップを立ち上げ、

ファイル
/ スクリプト
/ ファイルをレイヤーとして読み込み…




① 参照  デスクトップ フォルダ内の画像をすべて選択 

② 選択した画像が表示されていることを確認

③ ソース画像を自動的に配置する

④ OK




選択した画像がレイヤーになりました。




すべてのレーヤーを選択します。

一番上を選択し、シフトを押しながら一番下を選択すると、間のレイヤーもまとめて選択できます。




編集
/ レイヤーを自動合成…




① 画像をスタック

② シームレスなトーンとカラー

③ コンテンツに応じた・・・適用

④ OK




一番上に結合(合成)されたレイヤーが作られます。

最後は、レイヤーを結合しお好みのデータにして完成




① 目玉マークで他のレイヤーを非表示にし、一つのレイヤーを表示させると、どの部分を結合画像に適用したのかわかります。

とても人間技では不可能で、フォトショップのありがたさが実感できます。


被写界深度合成


  

「被写界深度」難解写真用語の解説 Ps被写界深度合成1/2

2020年 5月 3日

(今回の画像はどれも同じに見えますが、すべて違いそれぞれに重要〜な意味があるので、心してご覧ください。)

写真用語には難解な専門用語が数多くあります。

今回は「被写界深度」についてとってもやさしく説明します。

読み方は「ひしゃかいしんど」
「ピントが合っていると見える距離の範囲」のこと(意味不明???)

パソコンで変換すると「非社会震度」「火社会進度」が出てきますが、「被写界深度」です。

本来ピントは1点にしか合いませんが、絞り値を大きくすると「ピントが合っていると見える距離の範囲」が広がります。
また、絞り値が同じであれば広角レンズの方が被写界震度は深くなります。

今回は絞り値の変化で「被写界深度」をご説明します。

並べた色エンピツを撮ってみました。

被写界深度合成
絞り値 f2.8(開放:このレンズで一番小さい絞り値)
ピント位置はオレンジ(←矢印)
手前の白や奥の青は大きくボケています。
絞り値を小さくすると被写界深度は浅くなります。



被写界深度合成
絞り値 f32(このレンズで一番大きい絞り値)
手前の白や奥の青もそれなりにピントが合っている様に見えます。(ように見えるだけで合っているわけではありません。)
絞り値を大きくすると被写界深度が深くなりました。
また、ピントの位置は被写界深度に入れたい範囲の手前から1/3付近がよいと言われています。


絞り値を大きくすると奥行きがある被写体の全体がわかるようになり、良いことずくめのようですが、影響もあります。

影響1:
絞り値が大きくなると、レンズを通り抜ける光が少なくなり、同じ露出をキープするためにシャッタースピード(SS)が長くなります。(ISO感度が変わらないとして)
 事例: f2.8 SS1/60 → f32 SS1秒


影響2:
絞り値が大きくなると、光の回折現象により画像の鮮明さが低下します。
回折
「小絞りボケ」ともいわれ、ピントが合ったオレンジは、f2.8の方が鮮明です。

参考: 回折 < キヤノン サイエンスラボ
 https://global.canon/ja/technology/s_labo/light/001/03.html



絞り値を大きくし被写界深度を深くしても、被写体の手前から奥まで鮮明にピントが合っている訳ではありません。

すべての被写体に完璧にピントが合った画像を求め、ピント位置を変えた複数枚の画像を撮影し、フォトショップで被写界深度合成をしようと思います。

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成

被写界深度合成
手前から順番にピント位置をエンピツに合わせ8枚撮影しました。

そして・・・フォトショップで「被写界深度合成」〜


被写界深度合成
ピント位置が奥になるほど被写体が小さく写るのですが、違和感なく合成できました。

被写界深度合成
すべてのエンピツにピントを合わせ8枚撮影しなくても、1本飛ばしの4枚でも良いかもしれません。


フォトショップを使用した「被写界深度合成」の手順は次回のブログで・・・

  
タグ :被写界深度

行く春を惜しむ「花筏」の撮影 ISO・絞り・シャッタースピードの調整で印象的に

2018年4月17日

高山市街地のソメイヨシノは、行く春を惜しむかの様に落花が盛んです。
そんな時にぜひ撮影したいのが 花筏 です。

花筏


撮影のポイント

1 シャッタースピード
 花筏が流れるスピードにもよりますが、シャッタースピードは数秒となり三脚は必要。
 日中明るい時は、ISO感度を下げ、絞り値を大きくしても、シャッタースピードを長くできる限度があり、NDフィルターが必要。
 また、同じシャッタースピードでも、広角レンズでは画面内での移動距離は短く、望遠になるほど画面内での移動距離は長くなります。


2 水面の反射防止
花筏
左:PLフィルターなし。水面に空が映り明るいので、花筏が目立ちません。
右:PLフィルターで水面の映り込みを抑えました。


3 静と動
流れる花筏だけだと単なる「被写体ブレ」なので、流れない花筏や水辺の植物や石などを入れて画面構成しましょう。



PL  ND
撮影開始時は日差しがなく、PLフィルター・ISO50・f32(最大絞)で、なんとか適したシャッタースピードを確保しましたが・・・
途中で明るくなり、NDフィルター(4段減)を追加しました。
フィルターの濃さを表現するため下にアクリルを入れています。



花筏
ISO100 f16 SS3.2秒 PL ND


花筏
ISO100 f16 SS5秒 PL ND


花筏
ISO100 f14 SS3.2秒 PL ND

花筏は、下流に流れていても、川下から風が吹くとヨットのように上流に移動します。
また、直線的な流れよりも、蛇行や渦を巻くところを画面に入れると、より印象的になります。

最近のカメラ(やスマートホン)は高性能・高感度となり、手持ち&オート機能で簡単に写真は撮れるようになりました。
しかし、三脚を使用し、ISO感度・絞り・シャッタースピードの関係を理解すると、もっと素晴らしい写真を撮ることができます。  
タグ :花筏

朴葉寿司(岐阜県の郷土食)の撮影 グリッドライトでシズル感を

2016年6月8日
朴葉寿司
朴葉寿司は、岐阜県の飛騨・東濃・中濃地方の郷土食で、朴葉の若葉が大きくなってきた5月下旬〜6月にかけて各家庭で作られます。
朴葉寿司
比呂池奥様に撮影するよと言ったら、具材がとってもリッチになりました。
包んでしまうと具材がぺったんこになってしまうので、包む前の状態で撮影です。

撮影セット
↑撮影セットは、天トレ(撮影物の上にトレーシングペーパーを張る)に、後方斜め上からのバックライト、その対角にフロントライトです。


グリッドライト
↑今回は左側からもう1灯ライトを追加しました。


グリッドライト
↑前面に細かいハニカム形状(六角形)の穴が開いたグリッドを付けたライト
 光が拡散せず狭い角度で照射されます。写真のグリッドは10度


グリッド有無 比較
↑グリッドライトにより、具材の中でも比呂池が大好きな甘辛く煮たシイタケと、中央のサンショの葉に照りが出ています。

色合いだけでも十分に「美味しそう」に感じますが、照りが加わると「美味しそう感」はさらにアップします。それを「シズル感」と言います。

朴葉寿司は作りたてでもお美味しいですが、数時間経過すると朴葉の香りが寿司にうつり、さらに美味しくいただけます。

料理写真も比呂池写真事務所へおまかせください。
お問い合わせはこちら http://hiroike.hida-ch.com/c54776.html  

ネットショップの商品撮影 白バック 切抜なしで時間短縮2

2015年6月21日

ネットショップの商品撮影 白バック 切抜なしで時間短縮の2回めです。

昨日は、吊り下げた さるぼぼ を撮りましたが、今日は置いた さるぼぼ を撮ります。

 2015年6月20日:ネットショップの商品撮影 白バック 切抜なしで時間短縮
 http://hiroike.hida-ch.com/e709455.html


撮影条件
・被写体:さるぼぼ(高さ10cm・置く)
・白バック
・影をできるだけ出さない
・背景切抜レタッチはしない(時間短縮のため)


撮影セット
↑ 白ケント紙をアールをつけたL型に設置し被写体を置きます。通常よくある撮影の方法です。

お尻が少し上がっているので、さるぼぼはちゃんと座ってくれました。



ライト2灯

ライト1灯
↑ ライト2灯+トレペを両側45度からあてる方法(昨日と同じ)と、1灯+トレペを正面からあてる方法を比較検討します。



横から図
↑ また、背景は白ケント紙と、白ケント紙の上に乳白アクリル板(ツヤなし)を敷いたものを比較検討します。

本来は乳白アクリル板をL型にし下に空間をつくり設置し、下からライトをあてると影が消え被写体が浮いたように見えますが、設置に時間がかかるので今回はパスです。



2つの条件の組み合わせで4パターン撮影しました。

1灯ケント紙
↑ 影がある


1灯アクリル板
↑ 影が比較的薄い


2灯ケント紙
↑ 影が比較的薄い


2灯アクリル板
↑ 影が一番薄い



結果をまとめてみました。良 ◎ ◯ △ △△ 不可

比較表
↑ ライトを2灯使ったほうが影が薄くなります。しかし、左右の光の強さを合わせるのに時間がかかります。

1灯の場合でも乳白アクリル板を敷くとかなりいい感じで影が消えます。アクリル板は必要になりますが設置の時間はそれほど必要ありません。
また、アクリル板とケント紙の境界はほとんどわかりません。

今回のオススメは、
1灯ライトで白ケント紙+乳白アクリル板(ツヤなし)ということになりました。



お守の反射
↑「お守」が正面上を向いて固定されており、1灯ライトは反射で文字が分かりにくくなっていました。

ライトの角度や位置を少し変えるだけで反射がなくなる可能性はありますが、影が薄くなることだけに注目するのでなく、他のことにも気を配ることが必要です。【反省】



比呂池写真事務所では商品撮影のご依頼はもちろん、撮影方法やレタッチのご相談も承ります。
お気軽にお問い合わせください。http://hiroike.hida-ch.com/c54776.html
  

ネットショップの商品撮影 白バック 切抜なしで時間短縮

2015年6月20日

先日お問い合わせをいただきました、ネットショップ用の商品撮影について簡単にまとめてみました。

さるぼぼ

撮影条件
・被写体:さるぼぼ(高さ10cm・吊り下げひもつき)
・白バック
・吊り下げひもはピンと真っ直ぐに
・影をできるだけ出さない
・背景切抜レタッチはしない(時間短縮のため)


さるぼぼセット
撮影台に置くと吊り下げひもが真っ直ぐにならないので、水糸を使用し吊り下げました。

揺れ防止とバックからの距離を確保し影を消すため、つっかえ棒でセットしました。

ひもについた「タグ」と前かけの「飛騨」が垂直になりピントがくるようにセット。

通常は目にピントを合わせますが、さるぼぼはのっぺらぼうなので文字にピントを合わせます。



ライト正面
正面からライトを当てるとコントラストが強く濃い影が出ます。



ライト45度
ライトを斜め45度から当てても影が出ます。



レフセット
左側にレフをセットすると影は弱くなりましたが、影をもっとうすくしたいところです。




そんなわけで・・・
レイアウト
1つのライトだけでは影が消せないので、2つのライト&トレペを両側斜め45度にセットしました。
レイアウト



照明比
カメラからライトが離れるとTTL測光(自動露出)ができない機種なので、露出計で光の強さを計ります。

計らない方のライトは消し、露出計の白ボールを引っこめ、測る方のライトに向けます。

両方のライトを測定し、出力・距離・トレペの位置等を調整し、光の強さを均等にします。

両方のライトの照明比を測る時は、 露出計の白ボールは引っこめます。



露出測定
露出計の白ボールを出し、カメラに向けて露出値を計り、カメラに絞り・シャッタースピードをセットします。



グレーカード
続いて、グレーカードを撮影し、ホワイトバランスをニュートラルに。
設定方法はカメラの取説を

ネットショップでのサイズが小さい写真とはいえ、できるだけ正確な色を表現したいものです。

また、撮影時のホワイトバランスがずれていて、後から各写真ごとのレタッチで合わせようとすると時間がかかります。



さるぼぼ
撮影完了!
さるぼぼの両側にわずかに影があるように感じますが、許容範囲でしょうか。



RGB
ホワイトバランスがニュートラルかどうかの確認は、白バックにカーソルを置き、
「情報」RGBの値を見ます。RGBがほぼ同じ数値ならOK



レベル補正
白バックをもう少し白くしたいときは「レベル補正」
ヒストグラムの右端に空きがあるので、白矢印を少し左へスライドします。



糸ほつれ
糸のほつれは撮影前にしっかりチェックしておきましょう。

あつかう商品が小さいので、撮影も簡単なイメージがありますが、一般の商品撮影となんら変わりません。



ブログの説明だけでは詳細な撮影・レタッチの手順やその他のチェックポイントを充分にご説明できませんので、質問などありましたらお気軽にお問い合わせください。

また、今撮っている方法よりもっといい方法はないかな〜などのご相談も承ります。

比呂池写真事務所へのお問い合わせはこちらから http://hiroike.hida-ch.com/c54776.html


2015年6月20日 ネットショップの商品撮影 白バック 切抜なしで時間短縮2
http://hiroike.hida-ch.com/e709658.html

  

グラスのハイライト

2015年2月11日



↑先日、撮影した「グラスとアネモネ」(黒バック)です。

黒バックでのグラスの撮り方は昨日のブログを見てね。
「白バック & 黒バック」http://hiroike.hida-ch.com/e680612.html

それなりには撮れているのですが、グラスに入ったハイライトが帯状で輪郭がハッキリと出ています。

また、右側の小さいグラスの開口部は円形ですが、ハイライトにより角張ったグラスに見えています。

どちらのグラスも卵形の球状グラスなので、帯状のハッキリしたハイライトはイメージにあっていません。


そんな訳で、撮り直してみました。


ハイライトを柔らかくするようセットを組んでみました。



バックは乳白アクリルに黒ケント紙を貼り、下は黒艶アクリルです。

カメラの左側にアートレを張り、右側と上部は写り込みを減らすため黒カボックで覆いました。

アートレの外側に置いた大小3枚のカボックで、ハイライトの形を整えます。

アートレ ⇔ カボック ⇔ ヘッド の間隔調整でハイライトのイメージが大きく変わります。

ハイライトをさらに柔らかくするため、ヘッド前面にトレーシングペーパーを張りました。

グラスなどの光モノは周囲の余分なモノが写り込むため、黒カボックで囲むことが多くなり、被写体の大きさの割にはセットはとても大きくなってしまいます。




↑前回の画像



↑今回の画像  ワイングラスのハイライトが柔らかくなりいい感じです♪


背景は黒ケント紙でしたが、黒の締まりをさらに良くするために次回は黒ウールペーパーを使ってみたいと思う比呂池でした。


朝イチ授業のため登校の途中ではお花屋さんが開店しておらず、当初は造花の薔薇を使っていました。

それを見たクラスメートのAさんが、セットを組む間に本物の薔薇を買いに行ってくれました。 

やはり、本物だとテンションあがります。「Aさん ありがとう〜」

  

グラスのスタジオ撮影 白バック & 黒バック

2015年2月10日

先日1月29日に、白バックと黒バックの「花とグラス」の画像をアップしましたが、今日はそのライティングの仕組み(などと言うほどたいしたことではありませんが)を紹介します。



←左 背景は白 グラスのエッジは黒      右→ 背景は黒 グラスのエッジは白

まったく違うイメージですが、背景のアクリル板に貼るケント紙の位置と大きさを変えるだけです。






1 グラスの背面に乳白アクリル板を設置します。

2 乳白アクリル板の後ろに照明を設置します。(黄色はアクリル板を透過する光のイメージです。)

3 ←左側
白バックは、アクリル板の左右の端にタテに長い黒ケント紙を貼ります。
グラス自体は透過する光により白(透明)に写りますが、左右の黒ケント紙がグラスのエッジに写り込み黒エッジとなります。

4 右側→
黒バックは、グラスの背景(アクリル板の中央)にカメラアングルより大きく、黒ケント紙を貼ります。
グラス自体は背面の黒ケント紙により黒く写りますが、アクリル板の左右からの透過光がグラスのエッジに反射して白エッジとなります。



黒ケント紙の貼る位置と大きさを変えるだけで、イメージの違う写真が撮れることをご理解いただけたでしょうか。比呂池でした。