デジタルカメラのセンサーが記録できるダイナミックレンジは狭く、人が眼にしている実際の景色のダイナミックレンジを記録・表示することはできません。
ダイナミックレンジ ≒ ラティチュード(写真で再現できる露光の範囲・寛容度)
特にライトアップされた夜景の撮影はJPEG一発撮りでは、明るいところは白とび(真白に写る)し、暗いところはつぶれ(真っ暗に写る)て、眼で見たように写ってくれません。
Rawで撮って、現像時にハイライトを暗めにし、シャドーを明るめにすると、ある程度は調整できますが、やはりHDR(ハイダイナミックレンジ合成)にはかないません。
HDR(ハイダイナミックレンジ合成・High Dynamic Range Imaging)
HDRは、露出(明るさ)を段階的に変え複数枚撮り、暗い画像のハイライト部分と、明るい画像のシャドー部分の、いいとこを取り出して合成します。
HDR機能が搭載されたカメラやスマートホンもありますが、今回は PhotoshopCC を使用したHDR処理の紹介です。
【撮影】露出を段階的に変えて複数枚撮る。
↑上画像:建物上の紅葉は飛び気味ですが、後方の木立や空はいい感じです。
中画像:全体の明るさとしてはこの画像です。
下画像:暗い画像ですが、建物上の紅葉はいい具合に写っています。
↑AEB機能を使うと1回のシャッターで露出が違う3枚の画像が撮れます。
Auto Exposure Bracketing:自動段階露出
比呂池は通常1段違いで3枚撮影しています。
4枚5枚と撮影してもいいのですが、Raw5枚を同時に開くとなるとかなりの高性能パソコンが必要となります。
また、中央値を±0ではなく、-1 1/3 ・ -1/3 ・ +2/3 とマイナス側にシフトし、ハイライトを飛ばさない様設定することもあります。
当然、夜景撮影では露光時間が長くなり、また、カメラが動き画像がずれると合成できないので、三脚が必要です。
【PhotoshopCCでの処理】
↑露出を段階的に変えた3枚のRaw画像を開きます。
↑右クリック
/すべてを選択
/ HDRに結合
↑Raw3枚なので、かなりの処理時間が必要です。
↑オプション
レ 画像を整列
レ 自動補正
ゴースト除去
適宜
表示された画像は明るめですが次の工程へ
↑結合の結果
HDR画像(DNG方式)の一時保存
DNG:Digital Negative Adobeの提唱するRawファイル形式です。
↑保存が完了すると、HDR画像(DNG)が開きます。
その後は、明るさ調整も含め通常どおりのRaw現像とPhotoshopでのレタッチ
↑完成画像を拡大しJPEGと比べると、ノイズが低減され、解像感がアップしています。ブログの小さな画像ではわかりにくいですが・・・
↑合成前の3枚と比べると、その違いは歴然です。
比呂池写真事務所では、Photoshop教室やPhotoshop操作のお問い合わせも承ります。
http://hiroike.hida-ch.com/c54776.html